大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ラ)322号 決定

本件記録を調査するに、抗告人主張のように、抗告人が昭和三十一年三月三十一日原裁判所から同月三十日付で民事訴訟法第六五六条により七日の期間を定めて通知を受け、昭和三十一年四月六日に原裁判所に本件不動産を競買のない場合には金二十九万円で買受ける旨の申立を為したことと、その当時原裁判所から保証金額が二十九万円であることの告知を受け(これは抗告人の主張自体で明である)、抗告人は昭和三十一年四月六日から一週間の猶予を求めたが、ついに右保証金を供しなかつたので、原裁判所は昭和三十一年四月十七日民事訴訟法第六五六条第二項によつて本件強制競売手続を取消し、抗告人の本件強制競売申立を却下する旨の決定を為したことを認めることができる。

決定の告知については、民事訴訟法第二〇四条第一項によつてその効力を生ずるものであるが、上記認定の原裁判所からの通知書(記録一四五丁)には保証の金額は明示されていないが上記認定のように抗告代理人が裁判所書記官から金二十九万円との告知を受けたことは、抗告人の主張自体から窺われるから右告知は有効に為されたと認めるのを相当とする。右保証の金額は、競売の目的物件が最低競売価額以上で売れる見込があるかどうか及び債権者の申出価額を支払う能力と誠意があるかどうか等一切の事情を考慮して裁判所が適当に定めるものであるから、債権者の申出金額を超える金額を保証金額と定めることは考えられないが、事案によつては債権者の申出金額の全額を保証金額と定めることもあり得るのである。

保証金額をどう定めるかについては、右のような関係で競売裁判所の裁量に委せられているのであるから、その額については原則として、不服申立を許さないものと解するを相当とし、上記金額もまた相当である。

(柳川 村松 中村匡)

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